スティーブ・アルビニとSonic Youthから見るメジャーレーベルへの移籍とかについて

ソニック・ユースはメインストリーム・カルチャーの仲間入りすることを選択し、メインストリーム・カルチャーのために奉仕する一兵卒となって、ぼくたちのカルチャーの森へと斥候として侵入してきたんだよ。本当に下卑た行為だと思ったし、バンドの信用性も相当にあれで落としたと思うな。連中は今も友達だとぼくは思ってるし、連中の音楽には今もしっかりした誠実さがあるけど、でも、ああいう出方はね、恥ずかしくないって言ったらそりゃ嘘になるよね。本当に連中はあの行為を恥じ入るべきだと思う」

スティーヴ・アルビニがソニック・ユースをオルタナティヴ・ロックを貶めたと糾弾 (2010/10/07) 洋楽ニュース|音楽情報サイトrockinon.com(ロッキング・オン ドットコム)

こんなこと言ってますが、結論から言うと相変わらず仲いいんだなと思いました。(記事の中でも「友達だと思ってる」と言ってるし、実際仲いいのでしょう)
ソニック・ユースがメジャーレーベルと契約したのは『Daydream Nation』が高く評価されたからでありが彼らにとってもより自分たちの音楽を伝えたいという考えがあったのだと思いますが、個人的にバンドがメジャー契約以前に所属していたSST Recordsがひどかったからではないかというのも1つの理由ではないかという印象を受けます。
SST Recordsというのは1980年代にBlack Flagのギタリストであるグレッグ・ギンが創設したアメリカのインディペンデントレーベルで、主にノイズ・ロックやハードコア・パンクといったジャンルを扱っていました。所属バンドはBlack FlagSonic Youthの他にHüsker Dü、Dinosaur Jr.などなど面白い音楽を作るバンドばかり。80年代のアメリカといえば一般的にロックの暗黒期と呼ばれ(俺はそんなことないと思うんだけど・・・)、Guns N' RosesやVan Halenといった商業メタル系のバンドが持て囃される時代(ということになっている)でした。こういったバンドが大衆に人気がある一方で、コアな音楽ファンはSST Recordsなどのインディペンデントレーベルに流れていきました。80年代のパンクというのはメタルに押されて地味ながらも巨大なものだったと個人的に思っています。
しかしながらSSTは長続きしなかったんですよね。理由は諸説あれどやはりグレッグ・ギンの運営方針がクソだったんじゃないかと(SSTの大ファンだったDinosaur Jr.のJ・マスシスもメジャーに行くときSSTの運営体制をボロクソにけなしてましたし)。
つまるところ自由ながらも色々波乱のあるインディペンデントレーベルから、制限は色々あるが安定しているメジャーに移るというのはアルビニが言うような金に心を売るという問題だけではないと思いますし、仮にそれはそれでしょうがないんじゃないかと。
それに悪いことばかりではなくてSonic YouthがGeffen Records傘下のDGC Recordsに行かなかったら『Goo』や『Dirty』のような名盤も生まれなかっただろうし、Sonic YouthがDGCにNirvanaを推薦しなかったら『Nevermind』や『In Utero』を聴けなかったかもしれないし、もっというとIn Uteroをプロデュースしたアルビニも世間に知られなかったかもしれません。(NirvanaからアルビニのやってるBig BlackRapemanを知ったという人のほうが多いじゃないかな。俺もそうですが)
パンクの精神を売ったと言っても、そこから新たなるパンクが生まれるというのも価値があることだと思います。

あ、ちなみにSonic Youthのアルバムの中で一番好きなのは『Sister』です。

Sister

Sister

1曲目の『Schizophrenia』から最高なのですががががが。