Modest Mouseのニューアルバム「Strangers to Ourselves」の感想

今さらだけど今年3月に発売されたModest MouseのニューアルバムであるStrangers to Ourselvesを昨日タワーレコードで買って今日聴いた。

STRANGERS TO OURSELVES

STRANGERS TO OURSELVES

感想を一言で表すなら「Modest Mouseの旧要素と新要素を1枚で提示したアルバム」という感じ。

まず「旧要素」部分を見ていくと、シングルカットされた「Lampshades on Fire」や「The Ground Walks, With Time in a Box」、「Sugar Boats」、「Shit in Your Cut」に現れていると感じた。
「Lamshades on Fire」は5thアルバムである「We Were Dead Before the Ship Even Sank」の「People as Places as People」のソングラインをベースに1stアルバム「This is a Long Drive for Someone with Nothing」収録曲である「Dramamine」や「Tundra/Desert」でふんだんに使われていたあのModest Mouseにしか絶対に出せないギュンギュンとした乾いたリフが乗っていたり、「The Ground Walks, With Time in a Box」イントロでは3rdアルバム「The Moon and Antarctica」収録の「Tiny Cities Mades of Ashes」のメロを持っていってる。
「Shit in Your Cut」や「Sugar Boats」も「We Were Dead Before the Ship Even Sank」にルーツを持つ楽曲だと感じた。

上記でModest Mouseの過去から感じた感想を書いたが、各曲がありがちな過去の楽曲の焼き直しというわけでは決してなかったので良かったと思う。

そして対照的に新要素(だと個人的に思った)の部分を見せたのが「Pistol」と「Wicked Campaign」。
「Pistol」はディジー・ラスカルばりのグライム路線ソングでなかなかビビるし、「Wicked Campaign」は直球ポップソングであり、この曲のボーカルをクリス・マーティンに置き換えてこれはColdplayの曲ですと言っても全く違和感がない。
ともかく上記2曲はこれまでのModest Mouseでは絶対に作らなかった曲だと思う。

このように「旧要素」と「新要素」をここまで混在させたアルバムをModest Mouseが発表したのは初なんじゃないかなと。
「The Moon and Antarctica」や「Good News for People Who Love Bad News」のときも、「We Were Dead Before the Ship Even Sank」のときもアルバム全体でガラッと変えてきたのでちょっと意外だった。
なのでまだ他の人や海外のレビューはまだ見てないんだけど、本アルバムの路線は賛否両論なのかもしれない。

で、私はというとこの「Strangers to Ourselves」はなかなか良いアルバムなんじゃないかと思います。
前作から8年ぶりの新作ということでどうかなーと思ってて聴いてみたけど、さすがアイザック・ブロックのソングライティング力。
過去作品に比べるとパワー不足かもしれなけど聴き応えのある曲を相変わらず作ってんなあと。
なんだかんだで20年以上バンドやってるし、そういった地力は簡単には揺るがないのでしょう。
バンド創設メンバーで高校のときから一緒にやってきたベースのエリック・ジュディが2012年に子育てに専念するため脱退したり、2009年に脱退したジョニー・マーからアイザックは自分大好き人間すぎるとか言われたりしても。
アイザックの話によると次作は長い間をおかずに発表すると言ってるので、だらだらと本作を楽しんでいければなと思う。

最後に個人的に1番のお気に入りである「Coyotes」のPVを。
PVはシアトルの電車にコヨーテが迷い込んだという実際にあった話をベースに作らているっぽい。
歌詞もなんか幻想的でModest Mouseはこういう一種のカタルシスを感じさせる曲作るのうまいって。
あとPV中のコヨーテのしぐさがめっちゃかわいい。コヨーテ動画、マジコヨーテかわいいよコヨーテ動画である。
Modest Mouse - Coyotes